カードを作るとき、「丁合あり/なし」「順指定丁合」「丁合分割」などといった言葉を聞くことがあると思います。
日常的に使う言葉ではないので、意味がわかりませんよね…。
かく言う萬印堂でも使ってしまっていますが、これは印刷業界の専門用語です。
1.丁合とは?
「丁合(ちょうあい)」とは、元々は「製本するときに紙をページ順に揃える作業のこと」です(オフィス用コピー機でいうところの「ソート」と同じ)。
カードゲーム製造においては、複数種類のカードを1セットにまとめることを指します。
ですので、「丁合ありのカードを5セット」発注すると、以下の通りとなります。
カードゲームを作る立場からすると、当たり前のこと過ぎて「?」かもしれないのですが、製造工程では、印刷機の特性上、チラシのように「同じ種類のものをまとめて一気に印刷する」のが基本なので、カードゲーム1セットを作るためには、「同じ種類のものをまとめて一気に印刷する⇒それを丁合する(一枚ずつ取って重ねていき、1セットを作る)」というように、丁合の工程を加える必要があるのです。
カードゲームを専門で製造している印刷会社であれば、「丁合あり」を標準とするのが一般的ですが、普段からカードゲームを扱っていない印刷会社に依頼する場合、指定しないと「丁合なし」で納品されてしまう恐れもあるのでご注意ください。
萬印堂でも「丁合あり」が標準になっているよ!
ただし、格安の「ベーシックパック」「トランプパック」「試作パック」については、価格を極限まで下げるために「丁合なし」になっていて、ゲームデザイナーさん自身が、シートからカードを外した上で丁合する必要があるよ!
2.順指定丁合とは?
「順指定丁合(じゅんしていちょうあい)」とは、ゲームデザイナーさんご指定の順番にして丁合するオプションのことです。
このオプションの指定がない場合は、生産効率を考慮して萬印堂側で順番を決定させていただきます。
TCG(トレーディングカードゲーム)などで特定の順番にカードを並べたい場合や、マーダーミステリーで特定のカードの面を絶対にプレイヤーに見せたくない場合などに、このオプションを指定いただく必要があります。
順指定丁合の場合のオプション料金は、 〈1円(税抜)×セット当たりカード枚数×セット数〉 です。
1セットあたり50枚のカードゲームを順指定丁合とし、100セット発注する場合
⇒ 1円×50枚×100セット = 5,000円+税
※以上に加えてカード自体の印刷料金もかかります
3.丁合分割とは?
「丁合分割(ちょうあいぶんかつ)」とは、カードの束を分割することです。
分割のやり方は2種類あり、どちらにするかで料金も異なってきます。
(1)各束の枚数は指定するが種類は指定せずに分割する場合
各束に入るカードの種類は指定せず、枚数だけを指定して分割する場合は、丁合分割のオプション料金のみが適用されます。
カード枚数が多いので束を分割して箱詰めしたい場合などにご利用いただきます。
この場合は、丁合分割のオプション料金 〈10円(税抜)×束数×セット数〉 がかかります。
1セットあたり50枚のカードゲームを、種類の指定なく「10枚」「20枚」「20枚」に3分割して、100セット発注
⇒ 10円×3束×100セット = 3,000円+税
※以上に加えてカード自体の印刷料金もかかります
(2)各束に入れるカードの種類を指定して分割する場合
一つ目の束にはこのカードを、二つ目の束にはこのカードを、といった形で種類を指定して分割する場合は、「順指定丁合」と「丁合分割」を併用する形となり、両方のオプション料金が適用されます。
カードを「キャラクターカード」「アイテムカード」「イベントカード」などと種類ごとに分割しておきたい場合などにご利用いただきます。
この場合は、丁合分割のオプション料金に、順指定丁合のオプション料金が加わります。
1セットあたり50枚のカードゲームを、各束に入れるカードの種類を指定しつつ「10枚」「20枚」「20枚」に3分割して、100セット発注
⇒ 10円×3束×100セット(丁合分割料金) + 1円×50枚×100セット(順指定丁合料金) = 8,000円+税
※以上に加えてカード自体の印刷料金もかかります
4.ランダム丁合とは?
「ランダム丁合」とは、複数種類のカードをランダムに入れたパックを作ることで、TCGにおいて多用されます。
1パックに同じカードが入らないようにする、レアカードの出現率を操作する、など緻密な管理が必要であり、これができる印刷会社はほとんどありません。
非常に高額になってしまうため、残念ながら萬印堂でもこのランダム丁合のお取り扱いはありませんのでご了承ください。
5.さいごに
「丁合」についてご理解を深めていただけたでしょうか?
この丁合、一見簡単そうにも見えるのですが、製造工程としては非常に重要かつ難易度が高いです。
小ロットの場合は熟練の職人が手作業で行い、大ロットの場合は機械が行いますが、あの小さくて薄いカードを1枚ずつ正確に重ねていくのは簡単ではありません。
したがって、誤って同じ種類が2枚重なってしまう、などといった事故が発生しないよう、萬印堂では検品など様々な対策をとっています。
発注する印刷会社を選定いただく際には、そのあたりの信頼性についても考慮いただくことをオススメします。