2024年4月28日(日)18時30分、東京・有明のとあるお店にボードゲーム印刷会社の方々が集まりました。
タチキタプリントの西山さん、盤上遊戯製作所(BGM)の森川社長と森川専務、萬印堂の山口社長。
「ゲームマーケット2024春」を終えたばかりのみなさんに、ざっくばらんに語っていただきました。

 


 

一同:(グラスを片手に)ゲームマーケット、お疲れ様でした!!


  ―― おいしい食事とお酒が疲れた身体に染み込んでいく中、話題は盤上遊戯製作所さんのことになりました。


山口社長:昨年、社名を変更されましたよね?

森川社長:はい。株式会社丸義モリカワからモリカワペーパー株式会社に変更しました。

山口社長:どうしてそうしたんですか?

森川社長:英語表記なんかでは意識的にmorikawa paperにしてたんですが、先々を見据えて改めようと思ったんです。

山口社長:ゲームの仕事はいつぐらいから始めたんですか?

森川社長:2014年?ちょうど10年くらい前かな。

西山さん:僕が(ゲーム事業を)始めてちょっとしたくらいでしたよね。ネット上でモリカワさんが話題になってて、合紙ができる会社があるらしいぞと。

森川専務:エンボスしたボードを作ったんですよ。

西山さん:そう!それの出来が良くて、めっちゃ褒められていたのを当時のTwitterで見てて。

森川社長:そこから口コミで広がって、別の方から問い合わせが来てね。

西山さん:当時は独占みたいな感じでしたよね。たぶん、みんなが欲しがってた。

森川専務:エンボスから広がっていったんですよ。

森川社長:それから2、3年してゲームマーケットに行ったんだよね。ビッグサイトに来て、ナインタイルを買って。

西山さん:おお、ナインタイル!

森川社長:実際に買ってきて、みんなでやって、おもしろかったよね。

山口社長:そこからホームページでゲームやりますって出したんですか?

森川社長:そう。ポチポチと紹介で依頼があって。それから、ボードゲームやるからお願いできる?って(会社の人たちに)伝えて。

山口社長:じわじわ増えていったんですね。

西山さん:たしか、当時はまだ池田紙器工業さんとポプルスさんと萬印堂さんとウチ(タチキタプリント)くらいがボードゲームをやってたんじゃないかな。

森川専務:10年前くらいはそうだったかもね。

山口社長:結構口コミが大きいですよね、この業界って。デザイナー同志の繋がりとか・・・。

西山さん:勉強会とかやってるから、そこで話題になってるみたい。


盤上遊戯製作所さんの作業風景 

 

  ―― 続いて、話題はボードゲーム市場のことになり・・・。


山口社長:そういえば、最近ご発注いただくロットは少し増えましたか?

西山さん:ちょっと増えたかなあって感じかな。

森川社長:人気サークルさんとか、名のある作家さんとかは少し増えたかもしれないです。

西山さん:たしかに、ボードゲームの販売量としては、今年に入ってからは悪くないですね。コロナは完全に抜けきったかなあと。

山口社長:タチキタさんは安定した作品があるからいいですよね。

西山さん:ありがたいことに、ディレクターを務めているニューゲームズオーダーの方では、コヨーテやペンギンパーティとか安定して売れているものがありますね。

山口社長:今は円安の影響で、ボードゲーム製造が国内回帰しているって話もありますよね。

西山さん:ただ、流通がどうなるかがちょっと怪しいですよね。

山口社長:そうですね。

西山さん:そもそも販売網が全然弱くて・・・ゲムマに出ている良い作品を、ゲムマ以外でどう売るのか。

森川専務:たしかに。

西山さん:イベントはたくさん増えてきていていいんですけどね。

山口社長:もっと売ってくれる場所が増えたら、さらに認知度が上がるはずなんですけど、悩ましいですね。


ニューゲームズオーダーでは
「フードチェーンマグネイト」も人気
 

 

  ―― そして、最後に「合同広告」の話題となり・・・。

 

山口社長:当初、この広告を出そうって話をしたのが、我々3社が初めて集まった飲み会でしたよね。

森川専務:そう、アークライトさんが出した投稿が話題に出て・・・。
(※関連記事⇒https://arclightgames.jp/news/2312/

西山さん:我々もPPは環境負荷が大きいし処分が大変だよねって話になり、そこから思い切って合同で広告を出そうって話になって。

山口社長:西山さんが先導して各社へお声掛けしてくれたおかげで、広告が出せたので良かったです。



「ゲームマーケット2024春」のカタログに掲載 
 (画像をクリックすると別ウィンドウにPDFが開きます) 

西山さん:いえいえ。

森川社長:デザイナーさんやユーザーさんの立場からすると、箱はPP加工されていて傷がつかない方が良い、という気持ちも本当にわかるので、伝え方が難しかったですね。

山口社長:我々も今まで化粧箱は光沢PPを「標準」としてましたけど、これをきっかけに一つのオプションとすることにしました。

森川社長:でも、「ゲーム制作道具箱」は光沢PPでしたよね?

山口社長:すみません!今度再版するので、その時はエンボスにしましょうか。

森川社長:お仕事お待ちしています!

一同:ははははは!

山口社長:でも、日本の市場で、PPを無くすって厳しいですよね?

西山さん:完全には無理でしょうね。

森川社長:海外だと箱にシール直貼りで、みんな印刷が剥がれちゃうから、隙間からナイフを入れて・・・。

山口社長:綺麗に剥がすわけですか。

森川社長:あと、ドライヤーを使って綺麗に剥がしたりしてるそうですよ。

西山さん:ああ、熱で糊を剥がすのか!みんな頑張るなぁ。

森川社長:中古で売買することが日本ではあるから、だからそこまでやるんですよ。売るかどうかはわからないけど。

山口社長:PPが無くなると、箱はエンボスが主流になるんじゃないですか?

森川専務:それかニスのみとか、マットニスとか。

山口社長:ウチはエンボス紙を使ってやってますよ。

西山さん:ウチも小ロットはその方法でやってますね。

森川社長:ウチに依頼してくれてもいいですよ!

一同:ははははは!

森川社長:でも、今回の広告がきっかけで、少しは状況が変わったらいいですよね。

西山さん:どうしてもゲームに必要なら使うべきだけど、他がPP使ってるからって合わせる必要は無いしね。

山口社長:広告に書いたように、このゲームを楽しんでもらうために、PP加工は必須なのかってことを考えていただきたいですね。

 

  ―― その後も話は尽きなかったものの、次回は幕張で会いましょう!と約束して、今回はお開きとなりました。



ゲームマーケット2023秋で行なわれた「ゲムマ座談会」  
これをきっかけとして、今回の企画へと繋がりました 



プロフィール紹介

タチキタプリント https://tachikita.jimdofree.com/
担当:西山 昭憲
東京・立川で経営するショップ「B2Fゲームズ」から独立する形で2013年にオープンする。
メーカーである合同会社ニューゲームズオーダーのディレクターも兼務している。
アナログゲームの試作業務などを得意とし、チラシなどの各種印刷物のほか、3Dプリンターを活用した ボードゲーム用の駒の製造、各種木製駒を扱う通販サイト「駒のタチキタ」の運営も行なっている。



3Dプリンターで作られた駒

このような特殊なボードも作れます




盤上遊戯製作所(モリカワペーパー株式会社)
 https://boardgamemill.jp/
代表取締役社長:森川 江美子(前列中央右)
取締役専務:森川 聡宏(前列中央左)
大正11年(1922年)、合紙会社として名古屋で創業。以来、職人ならではの紙加工を得意としてきている。
2017年にボードゲーム製造サイト「盤上遊戯製作所(BGM)」を立ち上げ、本格的にアナログゲーム製造を開始。
2021年にボードゲームレーベル「A&R GAMES」を設立し、オリジナルゲーム制作も行なっている。

遊べる製品見本「Attract」

ゲームの他、合紙技術を活かした「紙製ブローチ」なども展開




株式会社萬印堂
代表取締役:山口 真司
昭和33年(1958年)東京都北区で創業。2000年からアナログゲームの印刷を本格的に着手する。
2020年、これまで率いていた作道昌弘氏が経営を離れて顧問となり、現体制となる。
2023年に秋葉原へ移転。年間700作品以上のゲーム制作を請け負っている(2023年時点)。最低ロットは1セットから発注することができ、法人向けの研修用ゲームやタロットカードの製作実績も多数ある。



ゲームマーケット2024春にリリースした
ゲーム制作に役立つ「ゲーム制作道具箱」

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