印刷用のデータを作るときに絶対必要なのが「ヌリタシ」と「トンボ」です。
けれど初めてデータを作る人には、それがどんなもので、なんで必要なのかピンとこないかもしれません。
そこで今回は「ヌリタシ」と「トンボ」について少しお話していきます。
「ゲームチップ・ゲームボードを作るときの注意点って?」のコラムでも関連したところがありますので、併せてご覧ください。

 

1.ヌリタシってどうして必要なの?

ヌリタシ(塗り足し)とは、製品の仕上がりの外側まで絵柄をのばしたところのことを言います。
ヌリタシは絵柄がフチまである場合はどうしても必要になります。

ゲームボード、カード、チップ、箱、説明書など、どのアイテムでもヌリタシが無いと、仕上がりのフチに、ほぼ間違いなく下地の紙色の白いスジが発生してしまいます。
これは製造工程の関係上、抜き位置の微妙なズレがどうしても避けられず、最大で2mm程度のズレが発生する可能性があります(印刷業界全体の標準的な許容誤差。ただし、実際には0.5~1mm程度のズレに収まることがほとんどです)。

絵柄がフチまであるものには、必ずヌリタシをつけての入稿をお願いいたします。

 

2.仕上がりの内側にもご注意!

抜きズレが発生するとデザインの外側だけでなく、内側にも影響が出てしまいます。
デザインによっては、フチが消えてしまったり、文字が切れてしまったりします。
このようなことを避けるために、仕上がり線より2mm内側(印刷安全領域)にデザインを収めるのを「逃がす」と表現したりします。

①デザイン外側のフチが狭い場合

コラム「ゲームチップ・ゲームボードを作るときの注意点って?」でも取り上げましたが、チップ・ボードに限らず他のアイテムでもフチのデザインが狭いと、わずかなズレでも目立ちやすくなります。2mm以下の設定の場合は最悪のケースでは、ほとんどフチが出ない場合も考えられます。
出来るかぎりフチは広め(2mm以上)にするか、そもそもフチのないデザインにしていただくことをオススメします。

萬印堂としては、「2mm以上の幅の『白フチ』をオススメしています。
カードのフチについてはコラム「カードのフチはどんなデザインにすべき?」も参考になるよ!


②仕上がりサイズいっぱいまで文字などが配置された場合

文字や飾り罫、主要な絵柄などが仕上がりギリギリに配置されていると少しのズレでも切れてしまいます。
やはり余裕をもって仕上がり位置より2mm以上、内側に配置していただくのをオススメします。

 

 

3.そもそもトンボって何?

「トンボ」はそもそもアナログ印刷の時に、各色の版の位置がズレていないかを確かめるために特に重要でした。
デジタル印刷が多くなった今では、そこの重要性は薄くなってきましたが、他にもまだまだ重要な意味があります。

トンボの4つの角に2本線のマークがあります。この4つを「コーナートンボ」と呼びます。
そして各辺の真中にある4つを「センタートンボ」と呼びます。

コーナートンボは印刷したい部分を明確にするために特に重要です。
2本あるうちの内側にある線が仕上がりの線です。製品はこの位置で断裁されます。上でもお話しましたが、1~2mmの誤差が発生するおそれがあります。
そのためにヌリタシが必要で、外側の線はそのヌリタシをひろげる目安となる線です。ちなみに萬印堂のテンプレートでは線の間が3mmに設定されています。これは他の印刷でもスタンダードなサイズです。

センタートンボは印刷の中心を測るために重要です。印刷時に正確に中央に配置するため、データファイルの中心とセンタートンボの中心が必ず一致したデータの入稿をお願いいたします。

 

トンボがどうして”トンボ”と呼ばれるようになったのかは、いくつかの説があるみたい。
英語では”トリムマーク”と言うけど、それが変化したとか、センタートンボの十字形がとんぼに似ているからとか。
ちなみに虫の”とんぼ”は”飛ぶ棒”から変化したというのが有力みたいだよ。

 

4.お手軽にトンボが付いたデータを作るには

萬印堂のテンプレートは、あらかじめ3mm幅のトンボがデータファイルの中心にセットされています。
入稿の際には必ず萬印堂テンプレートの使用をお願いします。
こちらを使用してヌリタシに注意して制作していただくと、初めての方でも問題なく入稿できるはずです!

「テンプレート入手」ページでは、カード、化粧箱、ボード、チップ、化粧箱、説明書などなど、それぞれのパーツに合わせ豊富なサイズをご用意しています。Illustrator(aiファイル)用、Photoshop(psdファイル)用、どちらかを選んで気軽にダウンロードしていただけます。
また、こちらのページに無いサイズは、ページの一番最後にあるフォームから依頼していだくことも可能です。


それでは素晴らしい作品を創るために、データ作成の際にはくれぐれもヌリタシにご注意を!