市販のボードゲームのパッケージや説明書には、いろいろな情報が書かれています。
タイトルはもちろんのこと、発売元、プレイ人数、対象年齢、プレイ時間……。
「同人作品の場合、どこまで書けばよいのか?」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
今回のコラムでは、そんな疑問にお答えしていきます。
なお、こちらのコラムでは、萬印堂がこれまで多くの同人作品を製造させていただく中で見てきた、「先輩サークルさんはこんなことを考え、こんな感じにしている場合が多いよ」という情報を掲載しています。
唯一の正解ではありませんし、一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会さんが発行されている「アナログゲームミュージアム会報誌 No.2 特集 ボードゲーム奥付ガイドライン」や、毎回ゲームマーケットカタログの終わりの方に掲載されている「ボードゲームのルールブックの書き方」内の「クレジットについて」などが参考になりますので、ぜひそちらもご覧ください!
1.どんな情報を掲載すべきか?
※★マークは必須と思われる項目
A.ゲームタイトル★ | 当たり前ですがゲームタイトルは必ず。シリーズ名やサブタイトルなどもある場合は、どこまでが正式なタイトルなのかを明確にした方が、専門誌などで紹介される際やボードゲームカフェなどで50音順に並べるのに都合が良いようです。 |
B.発売元★ | サークル名、(個人の場合は)ペンネームなど。 |
C.発売元連絡先★ | 商品に不備があった場合の連絡先はお客さまのためにも必ず掲載した方がよいです。 「メールアドレス」「Twitterアカウント」「連絡先を掲載しているサイトのURL」などを掲載している方が多いです。 |
D.発売年月日★ | ここは忘れがち。「アナログゲームミュージアム会報誌」でも触れられていますが、いつ発売されたものなのか分かった方が何かと良いので、初版の発売年月日(日まで特定するのが難しければ年月でも)を。例えば、ゲームマーケットで初めて販売したのなら開催日を掲載など。 |
E.対象年齢 | 「●歳~」と下限年齢を掲載するのが理想ですが、実際何歳にすればよいのか判断が難しいですよね。親戚のお子さんなどに楽しんでもらえたから、等で判断している方が多いようです。 |
F.プレイ人数 | 掲載されている場合がほとんどです。「5人でもプレイできなくはないけど、4人の方が絶対楽しい!」といった場合にどちらで掲載するかは難しいところですが、ここは作者さんのこだわり次第で判断しているケースが多いようです。 |
G.プレイ時間 | 「60分」などとピンポイントで表現することが難しい場合は、「30~60分」と幅を持たせて掲載しているケースもあります。 |
H.作品に関わった方・会社 | 「ゲームデザイナー(システムを考えた方)」「グラフィックデザイナー(デザインをした方)」「イラストレーター(イラストを描いた方)」「テストプレイに協力した方」「説明書の校正(チェック)をした方」「印刷会社」など作品に関わった方・会社を掲載しているケースは多いです。 「関わった方への感謝を表現したい」「有名なデザイナーさんの作品なのでアピールしたい」など様々な動機があるようです。 ただし、掲載されていないケースもありますので、無理する必要はないと思います。 ※「印刷所(or製造元):株式会社萬印堂」と掲載していただけるのは大歓迎です!「株式会社萬印堂」の代わりにロゴを掲載いただくことも可能です。 |
I.版数・刷数 | 初版なのか、第2版なのか、といった情報を掲載しているケースは同人作品ではそんなに多くありませんが、もし人気が出て何回か再版を重ねるといった場合には掲載されていた方が何かと便利です。これは我々印刷会社としてもオススメいたします(お客さまから不良品のクレームがあった場合に、同じタイミングで発売した商品に同じ不良が発生している可能性を探ったりできます)。 ちなみに、よく混同されがちですが、厳密にいうと、内容を修正せずに再版した場合は「第2版」ではなく「初版 第2刷」といいます。 |
J.JANコード(バーコード) | 市販品に必ず掲載されているバーコードは正式には「JANコード」といいます。 商品固有の番号を振ってコード化したもので、レジを通す場合には必須となります。 したがって、店舗での販売はもちろんですが、Amazonなどのネット通販で扱ってもらう場合にも求められる場合があります。 一方で、ゲームマーケットなどでの直売のみの場合は不要ですので、同人作品のほとんどはJANコードを掲載していません。 なお、JANコードを取得するには、「GS1事業者コードの登録」が必要となります(有料。更新制)のでご注意ください。(「JANコード」は日本国内の呼称)) |
2.どこに掲載すべきか?
これらの情報をどこに掲載すべきか、についても悩ましい問題です。
正解はありませんが、萬印堂が様々な作品を見させていただたいた経験では、パッケージのスペースに余裕があって、上記すべてをパッケージに掲載しているケースもあります。
一方でポーカーサイズ、レギュラーサイズのようなコンパクトなパッケージには、お客さまが購入するにあたって必要な最低限の情報(「A.ゲームタイトル」「B.発売元」「E.対象年齢」「F.プレイ人数」「G.プレイ時間」など)に絞り、その他は説明書に掲載しているケースもあります。
また、パッケージに掲載する場合には、その位置にも工夫している方が多いです。
委託販売で店頭に並ぶ際やボードゲームカフェなどで棚に並べられる際、パッケージの正面(天面)が見えるようにしてもらえるケースは稀なので、本のように横にして並べられても内容がわかるように、側面に「A.ゲームタイトル」「E.対象年齢」「F.プレイ人数」「G.プレイ時間」を掲載している方が多いです(特に長辺2面。どんな並べられ方をしてもわかるように短辺も含め4面すべてに掲載のケースもあります)。
どんな作品にしたいか、どんなデザインにしたいか、どんな販路で販売したいか、誰に向けて販売したいか……。
これらによって、どんな情報をどこに掲載するのかが変わってきますので、作品に対する皆さんの想いを踏まえて、ご検討ください!